ジェミーの大きな魅力
このときに当時の全米ホスピタルチェーン最大手のHCAとの提携話を進め、八五年にHCAと合弁で営利会社L医療センターを作り、元の非営利組織、L医療財団には医療研究機能のみを残して、病院や診療所、そして保険の経営はL医療センターへ移した。
「八〇年代初め頃までには医療保険やサテライトクリニックの経営に目処がついており、あとはとにかくこの事業機会を活かすための資金が必要だった。
しかし、自分たちが用意できたのは五〇〇万ドルに過ぎず、病院建て替えなどには一億ドルが必要だった」LLMFは合併経営に際し、医師が経営トップを続け、医師主導の経営を続けることを絶対条件とした。
そのため、取締役会のメンバーの半数をLLMFの医師が占めることとなった。
この条件は遵守されたが、外部の環境は変化を続けた。
この合弁の翌年、HCAは生命保険会社のエクィタブルと提携してEを設立した。
そして、HCAはL医療センターの株式持ち分の半分に当たる四〇%をEに譲っている。
九〇年には大手保険会社のシグナが、HCAとEの両者が持つL医療センターの株式、八〇%を買収し、翌九一年にはLLMFが持つ、残りの二〇%もたいへんな高額で買収してしまった。
これを境に法的にはL医療財団LMFは医学的指導の点でも、L医療センターに口を出す理由を失った。
そして、L医療センターは、九三年にL・へルスシステムズ社に名前を改めた。
九四年時点で、アルバカーキーにはL・へルスシステムズ社のほかに、長老教会へルスケアサービスや聖ジョセフ・ヘルスケアシステムといった中堅のHMOがあり、また、ニューメキシコ大学の大規模病院施設がシグナ保険傘下のL・へル社のHMOのひとつとして載せられている。
Lの例からも察しがつくように、HMO会社同士の競争は織烈になっており、それを勝ち抜くためにたいへん大きな資金を必要としている。
その意味で、大半が個人レベルの資力しか持たない医師主導の現代版HMO経営は難しくなりつつあるといえよう。
なお、この表を見ても分かるようにシグナ社の場合は他にも六三箇所のPPOやその他のマネジドケア組織を持っている。
このように従来からの大手保険会社が全米規模でマネジドケア医療保険を展開する例は、他にもエトナ社、ジョン・ハンコック社などといったところがある。
あるいはまた、ブルーシールド・ブルークロスといった超巨大な医療保険も、マネジドケア医療保険市場に参入している。
この別表からは、全米規模のマネジドケア医療保険がどのような体制で構成され、存立していることが分かっていただけるものと思う。
そして、独立したHMO会社だと名乗る、一つのマネジドケア組織の中を覗くと、規模次第では、中にさまざまなモデルのHMO型、あるいはPPO型、POS型のマネジドケア医療保険を扱っている。
HMOの活動自体はHMO法で管理されている。
そのHMO法は施行後、四半世紀を経て現在に至るまでに、何度も見直しが加えられている。
現在のところ、その内容の特色は、医療提供と医療保険の両方のサービスを委託すること、医療アクセスの地理的な標準化、患者自己負担の限度を設けること、そして、保険者が自分たちに都合の悪い虚弱者の保険引受けを忌避するといった逆選択の危倶から住民を保護するための加入者資格条項制限の監視の四つがあげられ、これらを指導することによって医療アクセスの幅を広げようとするものである。
まず、HMOに委託されたサービス業務というのは、健康増進、疾病予防、急性期医療の診断と受療についての許諾といった広範な医療サービスの確約と、その費用裏付けのための財務管理である。
医療サービスの具体的内容については、通常、HMOが加入者に配る医療給付リストに書かれており、おおよそ業界を通じて一様である。
具体的には、医師との相談、外来診療、入院治療、短期リハビリテーション、救急医療、精神医療、検査診断、放射線診断治療、在宅医療、そして、予防医療が含まれる。
予防医療は、家族プラン、不妊症、出産と乳幼児の医療、目と耳の検査、小児と大人の予防接種等が含まれる。
これら医療サービス業務の委託の範囲内で、HMO法は従来の公衆の健康予防サービスをうまく公的機関から民間へと移したものともいえる。
というのも、HMO法施行当時までは、医療保険は生活の維持が危ぶまれるような医療費支出が生じた際の生活の保障や費用の補填を行うものと考えられていて、予防的な医療サービスをカバーしていなかったからである。
次に、地理的なアクセスの標準化というのは、HMOは個々の加入者が適切と考えられる時間内に医療機関へアクセスできるよう、医療提供体制を用意しなければならないとするものである。
このなかには、地理的なロケーションと業務時間と年中無休二四時間体制の救急医療も含まれる。
この規定は、必要なときに加入者が医療を受けられることを保証するものである。
自己負担額限度の規則というのは、要するに、保険に加入していても保険控除額が大きかったり、本人負担や例外規定が多かったりして、実際に疾病時の生活保全に役立たないといったことが起こっては困るので、そういうような事態がないように、州や連邦の規則に従って、自己負担の程度を指導するものである。
具体的には、HMOが加入者への医療サービス提供時に、費用総額の五〇%を超す自己負担を押し付けてはならないと明記している。
また、年間の保険料総額の二〇〇%を超える自己負担を加入者に課してはならないことにもなっている。
このことは、自己負担ゆえに、医療サービスの利用やHMOへの加入が妨げられないことを保証するものである。
最後に、HMOによる加入者資格条項の内容に制限を課しているというのは、病気や怪我などの医療費について支払い制限や除外を行うような事前条項などを含めて、保険会社の逆選択を防止するためにある。
すなわち、HMOは加入者を制限してはならないとするものである。
以上のことからも分かるように、HMO法は、HMOが医療サービスの提供とそのための医療費支払いとが適切である妥協点を見つける組織となることを目論んでいるのである。
HMO法制定当初に意図したような成果が見えつつあるのが、昨今のHMOなのだが、この間に二五年の歳月が流れている。
そして、たいへんダイナミックな変革の努力があり、今も続いている。
現在のところ、全米に何百社もあるHMOは営業展開している場所によってサービス内容にずいぶんと差があり、しかも、進化の程度も異なっている。
そのため、HMOの活動の実際を一般的に描くのは難しい。
そのことを認識した上で、マネジドケアの活動の変化のきっかけを補足説明し、マネジドケア医療保険会社HMOの実際を述べてみる。
なお、HMOの活動に対する批判については、次の章で包括的に取りまとめることにするので、その因果をこの節の説明からお汲み取りいただければと思う。
さて、これまで説明したようにHMO法に則った組織が作られ、マネジドケア医療保険の加入者はどんどん増えていった。
近年のHMOに加入している人たちは、HMOが準備する医療ネットワークで診察や治療を受けるときには、医療費負担が一~一〇ドル程度で済む。
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